6.そうだったのか!!

彼の家で飲みながら、
幼い頃からギターを弾いてきていること、
将来何をしていいのか分からないという
不安を抱えていること、
若者のお決まりのごとく
青春の悩みを話していました。

彼もフラメンコギターが好きで、
大好きなビセンテ・アミーゴの魅力を
ひたすら語ったりして、
気が付けば明け方近くになりました。

気分転換に近くの公園へ散歩に行くと、
彼がこんなことを言ったんです。


「池川さん、世の中にはいろんな種類のギタリストがいますが、
 メシを食っていけるのは、フラメンコギターだけなんスよ、なんでだと思います?」


「???」


いきなり何を言うんだ?


と思いながらも、
しばらく考えてみました。

しかし答えられずにいると、
彼から意外な答えが返ってきたんです。


「踊りの伴奏っていう仕事があるからですよ」


最初言葉の意味が分からず、
ふと立ち止まって考えていました。


(踊り?)


(伴奏?)


言葉を頭の中で反芻し、
ようやく理解することが出来ました。

今まで、「ギターでメシを食いたいなー」という漠然とした夢でしか
将来を考えられていなかったのですが、
彼の言葉を聴いた瞬間、


「そっか、踊りの伴奏という仕事があるんだ!」

「まずは踊りの伴奏をできるようになれば、いいんだ!」

「自分が弾いてきたギターが生かせる!」


という一筋の光のようなものが見えたんです。


もちろん、踊りの伴奏というのは口で言うほど簡単なものではなく、
大変な技術が必要なのですが、
それでも、「ギターでメシを食う!」という漠然とした夢に
一筋の光が見えた思いがしたのでした。


あの時の気持ちは一生忘れられません。


しかし、これがまた
長い長い苦難の道のりの
始まりに過ぎなかったのです・・・。

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